鍼・セラバンド・フォームローラー・ノートを並べた4つのケア道具のフラットレイ。立川の鍼灸師が解説する『鍼だけじゃない|ハムストリング腱症の組み合わせ治療』のアイキャッチ画像

鍼だけじゃない|ハムストリング腱症の組み合わせ治療

スポーツ
目次
  1. 走る2人を悩ませた「近位ハムストリング腱症」
  2. 4つを「組み合わせた」アプローチ
  3. 結果:短期も長期も、痛みと機能が改善
  4. なぜ「組み合わせ」が大事なのか
  5. 最新の日本の研究とも方向が一致している
  6. yellのスタンス
  7. まとめ
  8. 参考文献

こんにちは! yell鍼灸治療院の斉藤です!

今回は、ハムストリングの痛みに対する「組み合わせ治療」 について書いていきたいと思います!

「鍼を打てば、それだけで良くなるんでしょ?」というイメージ、ありませんか。
正直にお伝えすると、研究の世界では、鍼は単独ではなく、運動療法と組み合わせて使われている ことがとても多いんです。

今日は、その代表的な症例をご紹介します。

走る2人を悩ませた「近位ハムストリング腱症」

2014年に報告された、ある2人のランナーの症例があります(アスリートの鍼治療をまとめたレビューにも収録されている例です)。
2人が抱えていたのは 近位ハムストリング腱症
簡単に言うと、太もも裏の筋肉が骨盤に付く「付け根」あたりの腱が、繰り返しの負荷で傷んでしまう状態です。

座ると痛い、走り出すと痛い、というやっかいな症状で、ランナーにとっては復帰が難しいトラブルのひとつ。
一度なると長引きやすく、保存的なケアでも数ヶ月かかることが珍しくありません。
だからこそ「何かひとつの特効薬」を探したくなるのですが、現実はそう単純ではないようです。
実際この2人も、ひとつの治療だけで一気に良くなったわけではありませんでした。

夕暮れの陸上トラックを走るランナーの後ろ姿。太もも裏の付け根を淡く示す、立川の鍼灸師が解説する近位ハムストリング腱症の記事内画像

4つを「組み合わせた」アプローチ

この2人に行われたのは、4つのアプローチの組み合わせ でした。

① 遠心性のトレーニング

筋肉を 伸ばしながら鍛える トレーニング(遠心性収縮)。
腱に少しずつ負荷をかけて、強くしていく狙いです。
実は、肉離れが起きる瞬間も、この「伸ばされながら力を出す」場面。
だからこそ、その動きに身体を慣らしておくことが、再発予防の鍵になります。

② 腰と骨盤を安定させる運動

体幹や骨盤まわりを安定させる運動。
ハムストリングだけでなく、土台のぐらつき を整えるアプローチです。
骨盤が前に傾いたままだと、太もも裏が常に引っ張られた状態になり、付け根の腱に負担がかかり続けるとされています。
だから「土台」から見直すわけです。

③ トリガーポイントへの鍼

太もも裏(内側・外側のハムストリング)や、内ももの筋肉の コリの芯(トリガーポイント) に対する鍼。
ピンポイントで筋緊張をゆるめ、動かしやすい状態に近づけることを目指します。

④ 患者教育

「どう動けば痛むのか」「どこまでなら大丈夫か」を本人が理解する、いわば 自己管理の学び
治療家まかせにせず、本人が回復のハンドルを握る。
これが、長期の再発予防にじわじわ活きてきます。

この4つをセットで進めた、という点がポイントです。

遠心性トレーニング・腰骨盤の安定化・トリガーポイント鍼・患者教育の4要素を円環状に配したインフォグラフィック。立川の鍼灸師が解説する組み合わせ治療の記事内画像

結果:短期も長期も、痛みと機能が改善

報告された結果は、こうまとめられます。

「この2人のランナーでは、遠心性のトレーニング・腰骨盤の安定化・トリガーポイントへの鍼の組み合わせが、短期・長期の痛みの軽減と機能の改善につながった」

大事なのは、「鍼だけで」とは書かれていない こと。
鍼は4つのうちの1つとして、運動療法や患者教育と並走する形で使われています。

ここに、私はとても共感しました。

「鍼がすべてを良くしました」と書く方が、宣伝としては映えるかもしれません。
でも、この報告はそうしなかった。
鍼を含めた4つのチームワークで良くなったという事実は
とても共感できるものでした!

木のトレーに扇状に並んだ清潔な鍼の写真。立川の鍼灸師が解説するハムストリング腱症への鍼治療を示す記事内画像

なぜ「組み合わせ」が大事なのか

ハムストリングの腱の痛みは、原因がひとつではないことが多いです。
腱そのものの弱さ、骨盤のぐらつき、動きのクセ、そして知識の不足。
こうした複数の要因が、からみ合って痛みをつくっています。

だから、ひとつのアプローチだけでは、どこかに穴が残ってしまう。
鍼で筋緊張をゆるめ、運動で腱と土台を鍛え、教育で動きのクセを直す
それぞれが違う角度から働くからこそ、組み合わせると穴がふさがっていく、というわけです。

逆に言えば、鍼だけ・運動だけ・安静だけ、と単独に頼るほど、ふさぎきれない穴が残りやすい。
「組み合わせる施術」というのは、ハムストリングのように再発しやすい部位ほど、大切になると感じています。

最新の日本の研究とも方向が一致している

2024年に発表された日本の研究(ハムストリング肉離れのリハビリ)でも、似たことが言われていました。
そのリハビリの柱は、伸張性のトレーニング(遠心性収縮)体幹・骨盤の安定化 です。

国もテーマも違う研究が、「ハムストリングは組み合わせで診る」 という同じ方向を向いている。
これは、なかなか説得力があります。

つまり、鍼はあくまで チームの一員
単独のヒーローではなく、運動療法・体幹ケア・本人の理解と組み合わせてこそ力を発揮する、という考え方です。

yellのスタンス

私が施術で大切にしているのも、まさにここです。
鍼だけで何とかしようとしない

太もも裏のコリや血流を整えるアプローチをしつつ、医師や理学療法士の方が立てた運動メニューと並走する。
そして、ご本人が「どう動けば安全か」を理解できるように、一緒に確認していく。

「鍼を打って終わり」ではなく、回復のチームの一員 として関わらせていただく。
それがyellの考える、ハムストリングへの向き合い方です。

まとめ

ここまで読んでくださってありがとうございます!

今回のポイントをまとめます。

  • 近位ハムストリング腱症の2人のランナーに、4つの組み合わせ治療 が行われた
  • その中身は 遠心性トレーニング+腰骨盤の安定化+トリガーポイント鍼+患者教育
  • 結果は 短期・長期の痛みの軽減と機能の改善(鍼単独ではない)
  • 腱の痛みは原因が複数だから、違う角度のケアを組み合わせて穴をふさぐ
  • yellのスタンスは「鍼は回復チームの一員。単独のヒーローにしない

ハムストリングの痛みや、走る復帰の不安があれば、公式LINE からお気軽にご相談ください。
立川駅・立川南駅からアクセスしやすい場所にあります。

yell鍼灸治療院は、あなたの健康と笑顔とハッピーを超応援します!


参考文献

  • Jayaseelan DJ, Moats N, Ricardo CR. "Rehabilitation of Proximal Hamstring Tendinopathy Utilizing Eccentric Training, Lumbopelvic Stabilization, and Trigger Point Dry Needling: 2 Case Reports." Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy 2014; 44(3): 198-205.
  • Lee J-W, Lee J-H, Kim S-Y. "Use of Acupuncture for the Treatment of Sports-Related Injuries in Athletes: A Systematic Review of Case Reports." International Journal of Environmental Research and Public Health 2020; 17(21): 8226.
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