
鍼だけじゃない|ハムストリング腱症の組み合わせ治療
目次
こんにちは! yell鍼灸治療院の斉藤です!
今回は、ハムストリングの痛みに対する「組み合わせ治療」 について書いていきたいと思います!
「鍼を打てば、それだけで良くなるんでしょ?」というイメージ、ありませんか。
正直にお伝えすると、研究の世界では、鍼は単独ではなく、運動療法と組み合わせて使われている ことがとても多いんです。
今日は、その代表的な症例をご紹介します。
走る2人を悩ませた「近位ハムストリング腱症」
2014年に報告された、ある2人のランナーの症例があります(アスリートの鍼治療をまとめたレビューにも収録されている例です)。
2人が抱えていたのは 近位ハムストリング腱症。
簡単に言うと、太もも裏の筋肉が骨盤に付く「付け根」あたりの腱が、繰り返しの負荷で傷んでしまう状態です。
座ると痛い、走り出すと痛い、というやっかいな症状で、ランナーにとっては復帰が難しいトラブルのひとつ。
一度なると長引きやすく、保存的なケアでも数ヶ月かかることが珍しくありません。
だからこそ「何かひとつの特効薬」を探したくなるのですが、現実はそう単純ではないようです。
実際この2人も、ひとつの治療だけで一気に良くなったわけではありませんでした。

4つを「組み合わせた」アプローチ
この2人に行われたのは、4つのアプローチの組み合わせ でした。
① 遠心性のトレーニング
筋肉を 伸ばしながら鍛える トレーニング(遠心性収縮)。
腱に少しずつ負荷をかけて、強くしていく狙いです。
実は、肉離れが起きる瞬間も、この「伸ばされながら力を出す」場面。
だからこそ、その動きに身体を慣らしておくことが、再発予防の鍵になります。
② 腰と骨盤を安定させる運動
体幹や骨盤まわりを安定させる運動。
ハムストリングだけでなく、土台のぐらつき を整えるアプローチです。
骨盤が前に傾いたままだと、太もも裏が常に引っ張られた状態になり、付け根の腱に負担がかかり続けるとされています。
だから「土台」から見直すわけです。
③ トリガーポイントへの鍼
太もも裏(内側・外側のハムストリング)や、内ももの筋肉の コリの芯(トリガーポイント) に対する鍼。
ピンポイントで筋緊張をゆるめ、動かしやすい状態に近づけることを目指します。
④ 患者教育
「どう動けば痛むのか」「どこまでなら大丈夫か」を本人が理解する、いわば 自己管理の学び。
治療家まかせにせず、本人が回復のハンドルを握る。
これが、長期の再発予防にじわじわ活きてきます。
この4つをセットで進めた、という点がポイントです。

結果:短期も長期も、痛みと機能が改善
報告された結果は、こうまとめられます。
「この2人のランナーでは、遠心性のトレーニング・腰骨盤の安定化・トリガーポイントへの鍼の組み合わせが、短期・長期の痛みの軽減と機能の改善につながった」
大事なのは、「鍼だけで」とは書かれていない こと。
鍼は4つのうちの1つとして、運動療法や患者教育と並走する形で使われています。
ここに、私はとても共感しました。
「鍼がすべてを良くしました」と書く方が、宣伝としては映えるかもしれません。
でも、この報告はそうしなかった。
鍼を含めた4つのチームワークで良くなったという事実は
とても共感できるものでした!

なぜ「組み合わせ」が大事なのか
ハムストリングの腱の痛みは、原因がひとつではないことが多いです。
腱そのものの弱さ、骨盤のぐらつき、動きのクセ、そして知識の不足。
こうした複数の要因が、からみ合って痛みをつくっています。
だから、ひとつのアプローチだけでは、どこかに穴が残ってしまう。
鍼で筋緊張をゆるめ、運動で腱と土台を鍛え、教育で動きのクセを直す。
それぞれが違う角度から働くからこそ、組み合わせると穴がふさがっていく、というわけです。
逆に言えば、鍼だけ・運動だけ・安静だけ、と単独に頼るほど、ふさぎきれない穴が残りやすい。
「組み合わせる施術」というのは、ハムストリングのように再発しやすい部位ほど、大切になると感じています。
最新の日本の研究とも方向が一致している
2024年に発表された日本の研究(ハムストリング肉離れのリハビリ)でも、似たことが言われていました。
そのリハビリの柱は、伸張性のトレーニング(遠心性収縮) と 体幹・骨盤の安定化 です。
国もテーマも違う研究が、「ハムストリングは組み合わせで診る」 という同じ方向を向いている。
これは、なかなか説得力があります。
つまり、鍼はあくまで チームの一員。
単独のヒーローではなく、運動療法・体幹ケア・本人の理解と組み合わせてこそ力を発揮する、という考え方です。
yellのスタンス
私が施術で大切にしているのも、まさにここです。
鍼だけで何とかしようとしない。
太もも裏のコリや血流を整えるアプローチをしつつ、医師や理学療法士の方が立てた運動メニューと並走する。
そして、ご本人が「どう動けば安全か」を理解できるように、一緒に確認していく。
「鍼を打って終わり」ではなく、回復のチームの一員 として関わらせていただく。
それがyellの考える、ハムストリングへの向き合い方です。
まとめ
ここまで読んでくださってありがとうございます!
今回のポイントをまとめます。
- 近位ハムストリング腱症の2人のランナーに、4つの組み合わせ治療 が行われた
- その中身は 遠心性トレーニング+腰骨盤の安定化+トリガーポイント鍼+患者教育
- 結果は 短期・長期の痛みの軽減と機能の改善(鍼単独ではない)
- 腱の痛みは原因が複数だから、違う角度のケアを組み合わせて穴をふさぐ
- yellのスタンスは「鍼は回復チームの一員。単独のヒーローにしない」
ハムストリングの痛みや、走る復帰の不安があれば、公式LINE からお気軽にご相談ください。
立川駅・立川南駅からアクセスしやすい場所にあります。
yell鍼灸治療院は、あなたの健康と笑顔とハッピーを超応援します!
参考文献
- Jayaseelan DJ, Moats N, Ricardo CR. "Rehabilitation of Proximal Hamstring Tendinopathy Utilizing Eccentric Training, Lumbopelvic Stabilization, and Trigger Point Dry Needling: 2 Case Reports." Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy 2014; 44(3): 198-205.
- Lee J-W, Lee J-H, Kim S-Y. "Use of Acupuncture for the Treatment of Sports-Related Injuries in Athletes: A Systematic Review of Case Reports." International Journal of Environmental Research and Public Health 2020; 17(21): 8226.




