復帰後のアスリートのロッカー静物(木のベンチにスニーカー・膝サポーター・テーピング・タオル・水筒)/ACL経験者の物語を語る、抑えたトーンのアイキャッチ画像

一度ACLを切った膝|『隠れた靭帯』の話を知ってますか

スポーツ
目次
  1. ACLを切って復帰した膝、『あの音』を忘れられない
  2. 実は膝の中に、ACLの相棒がいるらしい
  3. ACLとセットで再建すると、こう変わる
  4. 知っておきたい『術後1年の壁』
  5. 私が、この話を知って欲しかった理由
  6. まとめ
  7. 参考文献

こんにちは! yell鍼灸治療院の斉藤です!

今回は、 前十字靭帯(ACL)を切ってしまったご経験のある方 に届けたい、内容になっています。

「もう二度と、あの経験はしたくない」

そんな思いを抱えて日々を過ごしている経験者の方に、ぜひ知って欲しい情報があります。

ACLを切って復帰した膝、『あの音』を忘れられない

前十字靭帯(ACL)は、簡単に言うと 膝の中で前後の安定を守る靭帯 です。
サッカーやバスケットボール、スキーなど、切り返しやジャンプの多いスポーツで、着地の瞬間に切れてしまうことがあります。

ACLを切ってしまうと、多くの場合は 再建する手術 を受けて、リハビリを経て復帰していきます。
半年から1年ほどで、また競技に戻る方がほとんどです。

ただ、復帰した経験者の方の多くが、こんなことを感じているようです。

「久しぶりの全力プレーで着地した瞬間、あの音が耳の奥でよみがえる」
「膝をひねる動きになると、無意識にブレーキがかかる」
「もう二度と、あの怪我はしたくない」

これは、実際にACL断裂を経験した方の共通する感覚。
身体の中でしっかりケアされた膝でも、心の中では警戒心が残り続けるものだと感じています。

実は膝の中に、ACLの相棒がいるらしい

ここからが、今回の主役です。

膝の中には、実はACL以外にも、まだ一般にはあまり知られていない靭帯があります。
それが 前外側靭帯(ALL) と呼ばれる、膝の外側にある靭帯です。

ALLは、膝の外側で、太ももの骨(大腿骨)から すね の骨(脛骨)にかけて走る細い靭帯。
簡単に言うと、膝が『ネジれる』動きに対して安定を守ってくれる靭帯 です。

ACL が「前後の安定」を守っているとすると、ALL は「ねじれの安定」を守っている、と考えるとイメージしやすいかもしれません。
特に、膝を軽く曲げた姿勢(30度以上)で内側にねじれる動きを制御する働きがあると言われています。

問題はここから。
ACLを再建する手術では、多くの場合ACLだけを再建します。
すると、ACLは前後の安定を取り戻せても、ねじれの安定を担うALLが元通りにならないケース があるのです。

これが、復帰後の『あの感覚』——着地でヒヤッとする、ねじれる動きでブレーキがかかる——につながっている可能性がある、というわけです。

木製の縦柱と斜め筋交いの写実still-lifeで、縦柱=ACL(前後の安定を守る)、斜め筋交い=ALL(ねじれの安定を守る)の役割の違いをたとえた概念図。2本セットで、初めて構造全体が安定する

ACLとセットで再建すると、こう変わる

2025年に、クロアチアの病院から発表された研究があります。
サッカー・バスケットボールなど切り返しの多いスポーツをやる 291人のアスリート(平均20.6歳)を対象に、ACLとALLをセットで再建した結果 を2.5年以上追いかけたものです。

そこで報告されていた数字が、なかなかインパクトがありました。

  • 従来のACL単独再建:再び切れる割合 18〜28%
  • ACLとALLをセットで再建:再び切れる割合 3.78%

同じスポーツに戻ろうとして、同じような身体を持つ選手たちで、5〜8倍近くの差
「膝の中に、もう一本大事な靭帯があった」ということを踏まえてセットで再建すると、これだけの違いが出るということです。

さらに、受傷前と同じレベルのスポーツに復帰できた割合は 75.6%
プロのサッカー選手や国内トップレベルのアスリートも多く含まれた集団で、この復帰率は目を見張るものがあります。

再び切れる割合の比較棒グラフ/ACL単独再建 18〜28%(オレンジバー)に対し、ACLとALLをセットで再建すると 3.78%(緑バー)で、5〜8倍近くの差が示された2025年クロアチアの研究のインフォグラフィック

知っておきたい『術後1年の壁』

一方で、この論文は正直な数字も報告してくれていました。

再び切れてしまった11人のうち、7人(63.6%)が術後1年以内 の出来事だったのです。
つまり、ACLを再建する手術を受けたあと、最も再び切れやすいのは 術後1年間

これは、移植した靭帯が新しい膝の中で 骨としっかり一体化していく期間 だからのようです。

「ACLとALLをセットで再建できるなら、確かに再び切れる割合はぐっと下がる」
とはいえ、その先にはまだ『術後1年の壁』がある、、

選択肢を知ることで前に進む道は増えるけれど、焦らず地道に身体と向き合っていく時間 は、やはり避けられないのだと感じました。

私が、この話を知って欲しかった理由

私自身、感じるのが、ALLの存在自体を知らない方が多い ということ。
当然ではありますね。
私もこの仕事に就いていなければ知りもしなかったでしょう。

「ACLを再建する手術には、色々な術式がある」
「ACLだけを再建する方法と、ACLとALLをセットで再建する方法がある」
「セットで再建すると、再び切れる割合が全然違うことが分かってきた」

こういう情報は、一度切ってしまった経験者の方や、これから手術を控えている方、そのご家族 が知っておくと、選択肢が広がるはずです。

もし、後輩やお子さんがACLを切ってしまった時に、この話を思い出して、選択肢の1つとして伝えてあげてほしいなと思います。
そして、経験者の方は、『隠れた靭帯』の存在を知るだけでも、これから膝と付き合っていく上での目線が少し変わるかもしれません。

一緒に前に進んでいきましょう!

まとめ

ここまで読んでくださってありがとうございます!

今回のポイントをまとめます。

  • 膝の中には、ACL以外にも 前外側靭帯(ALL) という『隠れた靭帯』がある
  • ALLは膝の 『ねじれの安定』 を守る靭帯(膝を軽く曲げた姿勢で作用)
  • 2025年のクロアチアの研究:ACL単独再建の 再び切れる割合 18〜28% に対し、ACL+ALL セットで再建すると 3.78%(5〜8倍の差)
  • 受傷前と同じレベルのスポーツに復帰できた割合は 75.6%
  • ただし、再び切れた人の 63.6% は術後1年以内——この期間は特に慎重に

「膝の靭帯や再建の選択肢について、もう少し知りたい」と感じられたら、公式LINE からお気軽にどうぞ。
立川駅・立川南駅からアクセスしやすい場所にあります。

yell鍼灸治療院は、あなたの健康と笑顔とハッピーを超応援します!


参考文献

  • Kottek T, Bulat S, Vrgoč G, Ivković A, Bukvić F, Jeličić J, Janković S. "Modified Combined Anterior Cruciate Ligament and Anterolateral Ligament Reconstruction in 291 High-Level Athletes: Clinical Outcomes at Minimum 2.5-Year Follow-Up." Medicina 2025.
カテゴリスポーツ
タグ#ACL#ALL#リハビリ#前十字靭帯#立川##鍼灸

関連記事