
ハムストリング肉離れの2タイプ — 筋線維型と腱膜型を知る
目次
こんにちは! yell鍼灸治療院の斉藤です!
今回は、ハムストリング肉離れの「2つのタイプ」について書いていきたいと思います!
「肉離れって、太ももの裏に痛みが走るアレでしょ?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、ハムストリングの肉離れは 全肉離れの37〜40%を占める 最頻発の損傷です。
そして、タイプによって復帰までの時間がぜんぜん違う、、
ということが、2024年の研究で明らかになっています。
「私のはどっちのタイプなんだろう?」と気になる方の不安が、少しでも減らせれば嬉しいです!
そもそも「肉離れ」って何が起きているの?
「肉離れ」って、簡単に言うと
筋肉の繊維が、急な強い負荷で部分的に切れてしまう ことです。
もっと簡単に言うと、ゴムを急に伸ばしすぎて「ぷちっ」と切れる感じ。
しっかり目に言うと、筋線維や、それを束ねている腱膜が損傷した状態を指します。
ハムストリング(太ももの裏)は、走る・跳ぶ・止まる動作で大きな力が一気にかかる部位なので、肉離れが起きやすい場所として知られています。
私もトライアスロンの練習で、何度かヒヤッとしたことがあります笑

ハムストリング肉離れの2タイプ(JISS分類)
ここからが本題です!
日本のスポーツ医学では、ハムストリング肉離れを 2タイプ に分けて診断します。
これを「JISS分類」と呼びます。
| タイプ | 別名 | どこが傷ついているか |
|---|---|---|
| Ⅰ型 | 筋線維型 | 筋肉の繊維そのものが部分的に切れる |
| Ⅱ型 | 腱膜型 | 筋肉と腱をつなぐ「膜」の部分が傷つく |
簡単に言うと、どこが傷ついたか で区別しているだけです。
Ⅰ型は筋肉の真ん中
Ⅱ型は筋肉と腱の境目あたり
というイメージ
ちなみに2024年の研究では、33例中 Ⅰ型11例・Ⅱ型22例 と、Ⅱ型のほうが約2倍多く 報告されています。

タイプによって変わるのは「復帰までの時間」
JISS分類を使って33例を分析した2024年の研究(日本臨床スポーツ医学会誌)に、こんな数字が出ています。
| タイプ | 軽い運動開始まで | 完全復帰まで |
|---|---|---|
| Ⅰ型(筋線維型) | 中央値 15日 | 中央値 29日 |
| Ⅱ型(腱膜型) | 中央値 21.5日 | 中央値 34.5日 |
Ⅰ型はだいたい1ヶ月、Ⅱ型は1ヶ月半弱、というイメージです(いずれも統計的に有意な差)。
「やった、自分はⅠ型かも!早く戻れる!」と思った方、ちょっと待ってください、、、
逆に「Ⅱ型だったらどうしよう、、」と不安になった方も、少し落ち着いてください。
復帰時間は、あくまで 目安 です。
私自身も、これまでスポーツをされている患者様の肉離れを多く拝見してきましたが、確かに「同じ肉離れでも、戻ってくるペースは人それぞれ全然違うな〜」と感じています。
ご自身の体の回復ペース・受傷の程度・普段のトレーニング量によって、実際の復帰時期は変わってきます。
大切なのは「早く戻ること」より「完全に戻すこと」です。
焦って復帰すると、再損傷のリスクが上がってしまいます、、、
ちなみにこの論文には、こうも書かれています。
「ハムストリング肉離れの 約1/3 は再発 するとされ、再発リスクが最も高いのは スポーツ復帰後2週間以内 とされている」
再発の具体的な確率や、防ぐためのコツについては、シリーズの別の記事で詳しく書きますね!

タイプによって変わらないのは「機能の回復」
ここがこの研究の 一番面白いところ
復帰までの「時間」は損傷型で変わるのに、復帰した時点での「筋力」「柔軟性」は、Ⅰ型もⅡ型も同じくらい回復していたんです。
具体的には、膝の屈曲筋力(180°/秒)の患健比はⅠ型 101%・Ⅱ型 94% と、両タイプとも 健側の100%近くまで戻っている 数字でした(有意差なし)。
論文の結語にもこうあります。
「適切かつ段階的なリハビリテーションプログラムが、スポーツ開始時の機能回復に繋がっている」
簡単に言うと、「ゴールに到達する 時間 は違うけど、ゴールでの コンディション は同じ」。
時間はかかるかもしれないけど、しっかりリハビリすれば、Ⅰ型と同じくらいの機能で戻れる可能性があります。
肉離れになったときの応急処置(RICE)
ここまで
「タイプ」
「復帰期間」
「機能の回復」
のお話をしてきました。
「で、実際に肉離れになっちゃったら、どうすればいいの?」
そんな疑問にお答えするために、まずは 受傷直後の応急処置 をお伝えしますね。
スポーツの世界では「RICE処置」と呼ばれる、4つの基本があります。
① Rest(安静)
まずは動かさないこと。
「軽い違和感だから大丈夫」と動き続けると、損傷が広がってしまうことがあります。
② Ice(冷却)
患部を 冷やす ことで、内部の出血や炎症を抑えます。
ビニール袋に氷をタオル越しに当て、15〜20分 が目安です。
③ Compression(圧迫)
弾性包帯などで 軽く圧迫 すると、内出血や腫れを抑える効果が期待できます。
しめすぎは血流を妨げるので、「少しキツいかな?」くらいで止めましょう。
④ Elevation(挙上)
患部を 心臓より高く 上げると、腫れが引きやすくなります。
⚠️ 大事な注意点:受傷から 48時間 は、ストレッチ・マッサージ・お風呂・お酒は厳禁です。
揉んだり伸ばしたりすると、損傷が悪化してしまうことがあります。

鍼灸が肉離れに対してできること
「、、、で、鍼灸はどう関わってくるの?」と気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
鍼灸は、患部周辺の血流を整え、回復しやすい体内環境をつくる サポートを目指せる施術です。
回復するのは、あくまでご自身の体の力です。
その回復力が発揮されやすい状態を整える、というイメージですね。
論文の中でも、復帰の判定には ①疼痛がない/②伸張性に左右差がない/③筋力が回復している の3条件が挙げられています。
鍼灸は、このうち「疼痛のコントロール」と「筋緊張・血流の調整」の部分で関わっていけると考えられます。
ハムストリング肉離れに対する鍼治療の早期介入の意義は、いくつかの研究でも報告されています。
詳しい中身は、シリーズ後半の記事で深掘りしていく予定です!
私自身も、その日のお身体の状態を1つひとつ確認しながら、合ったアプローチを選ばせていただいています。
「焦らず、確実に」をご一緒に大切にしていけたら嬉しいです。

まとめ
ここまで読んでくださってありがとうございます!
今回のポイントをまとめます。
- **ハムストリング肉離れは全肉離れの37〜40%**と最頻発、約1/3が再発する
- 2タイプある(JISS分類):Ⅰ型(筋線維型)/Ⅱ型(腱膜型)
- 復帰までの時間:Ⅰ型は中央値29日/Ⅱ型は中央値34.5日(2024年研究)
- 復帰時の機能(筋力・柔軟性):両タイプで健側の約100%まで回復する
- 応急処置はRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)/48時間はストレッチ・マッサージ厳禁
- 鍼灸は疼痛コントロールと筋緊張・血流調整の部分で関わる
「Ⅰ型かⅡ型か」は、画像検査(MRI)と問診で診断します。
ご自身のお身体が今どんな状態か、まずは専門家に見てもらうのが一番の近道です。
「焦って戻すより、しっかり戻す」を合言葉に、ご自身のペースで復帰の道のりを歩んでいただけたら嬉しいです!
肉離れのケアや復帰の不安について、もし「ちょっと相談したいな、、」と感じられたら、公式LINEからお気軽にどうぞ。
立川駅・立川南駅からアクセスしやすい場所にあります。
yell鍼灸治療院は、あなたの健康と笑顔とハッピーを超応援します!
参考文献
- 三宅秀俊ほか「ハムストリング肉離れからのスポーツ復帰時の身体機能―損傷型による比較―」日本臨床スポーツ医学会誌 Vol.32 No.1, 2024, pp.85-90.




