
大胸筋と体幹を同時に鍛える|揺れる負荷ベンチプレス
目次
こんにちは! yell鍼灸治療院の斉藤です!
今回は、ベンチプレスの応用テクニック「揺れる負荷」について書いていきたいと思います!
同じベンチプレスを続けて刺激が伸び悩んでいませんか?
「同じ重量・同じフォームでずっと続けているのに、胸への効きが薄くなってきた、、」
そんな伸び悩みを感じている中〜上級のトレーニーの方に、1つ知ってほしい応用テクニックがあるんです!
「揺れる負荷(swinging loads)」というアプローチ。
バーに水袋やチェーンを吊るして、あえて重量を「不安定」にする手法です。
訓練者17名にペンダラム負荷を試した実験
2020年に「PLoS One」に掲載された論文(Saeterbakken 2020)が、この手法を科学的に検証してくれています。
被験者は、レジスタンス訓練の経験を持つ男性17名。
平均トレーニング歴は9.4年で、いわゆる「中〜上級以上のトレーニー」に絞られていました。
彼らに、70%1RM の重量で、以下の3条件を試してもらったんです。
「安定した重量(通常のベンチプレス)」
「2×5kgのペンダラム負荷が前後に揺れる状態」
「2×5kgのペンダラム負荷が左右に揺れる状態」
測定した筋は、大胸筋・前三角筋・後三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋・外腹斜筋の6筋。
結果は、こう出ました。
大胸筋の筋活動は、揺れる負荷(前後・左右のどちらも)で有意に増加。
外腹斜筋の筋活動は、"横揺れ"の時にのみ有意に増加。
肩・腕(前後三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋)は3条件で有意差なし。

大胸筋への刺激がなぜ増えるのか
なぜ、揺れる負荷を使うと大胸筋の活動が上がるのか?
理由は、「不安定な負荷を制御し続ける必要が生まれる」からなんですね。
通常のベンチプレスは、重量が"1本の軸"で真上に乗ってくる状態です。
揺れる負荷では、バーに吊るされた重りが独自のリズムで揺れ動いているんです。
この揺れをコントロールしながらバーを押すには、大胸筋を含む筋群が「予測しづらい負荷」に対して細かく反応し続ける必要が出てきます。
微細な制御の反復が、大胸筋の活動量を押し上げていってくれる、というのが仕組みなんですね!
大胸筋の細かい「制御力」が鍛えられるという意味では、
通常のベンチプレスとはちょっと別種のトレーニング効果があるかもしれません。
伸び悩みを感じている方の場合、神経系の反応が慣れてしまっている可能性もあって、揺れる負荷はそこに新しい刺激を入れてくれる手段になってくれるんです。
これは「同じ重量でも刺激の質を変えられる」ということでもあって
重量を上げなくても、大胸筋への刺激を伸ばせる余地があるんですね!
横揺れで体幹まで動く|外腹斜筋の動員
もう1つの興味深い結果が、横揺れの時にだけ外腹斜筋が動員されるという事実
外腹斜筋は、体幹の側面にあり
身体を左右にひねる時や、横方向の負荷に対して姿勢を保つ時に働いてくれています。
前後の揺れでは、外腹斜筋は反応しません(実験結果より)。
横に揺れる時にだけ「重心が横にブレる」状況が生まれるので、それを止めるために外腹斜筋が働いてくれるんですね。
つまり、
「大胸筋の刺激を伸ばしたい」→ 前後・横のどちらの揺れでもOK
「体幹(外腹斜筋)もあわせて鍛えたい」→ 横揺れがある方が有効
という使い分けができるんです!
外腹斜筋は、日常生活で身体を横方向に安定させる時にも働いてくれる筋。
歩行中に段差でよろけた時や、電車で急ブレーキがかかった時、身体を横に倒さないよう支えてくれているのがこの筋で
トレーニングと日常動作の両方で使う筋なので、鍛えておく価値の高い部位です!
一方で、肩と腕の筋活動は3条件で差がなかった、という点も大切なポイント。
「揺らしたからといって、肩や腕への負担がむやみに増えるわけではない」という結果は、ケガのリスクを冷静に判断する材料になってくれるかもしれません。

中〜上級者が試す前に知っておきたいこと
ここまで読んで「試してみたい!」と思われた方に、いくつかの前提条件をお伝えしたいです。
Saeterbakken 2020 の被験者は平均9.4年のトレーニング歴の方ばかりで、この結果は「基本のフォームが安定している方が使える手段」になってきます。
初中級の方には、少しハードルが高いところもあります。
基本フォームが安定してから
通常のベンチプレスのフォーム(肩甲骨の寄せ・胸の張り・フルレンジ)が、無意識に整う状態になってからが目安になります!
不安定な負荷は、フォームの乱れをそのまま増幅させてしまうからです。
軽い前後揺れから始める
いきなり横揺れから始めると、体幹が耐えきれずバーが傾いてしまう可能性もあります。
まずは通常より軽めの重量を吊るして前後に揺らすところから始めてみてください!
何セットか試して、身体が反応を覚えてから横揺れに移っていく、そんな流れが安全ですね。
痛みや違和感が出たら中止
セット中に、肩・肘・腰のどこかに違和感が出たら、その日のうちに中止しましょう。
翌日に張り・痛みが残るようであれば、次回は通常のフォームに戻す判断も大切になってきます。
上級テクほど、身体の声に丁寧に耳を傾ける姿勢が問われてくるんですね!
「攻めた刺激」ほど、身体からのサインを見逃さないようにしていきたいですね!
施術中にも「新しいトレーニングを試したらどこか痛めてしまって、、」というお話は少なくないので、丁寧な導入をおすすめしています。
まとめ
ここまで読んでくださってありがとうございます!
今回のまとめ
- 揺れる負荷を使うと、大胸筋の筋活動が有意に増える(前後・横のどちらでも)
- 横揺れの時だけ、外腹斜筋(体幹側面)も動員される
- 肩・腕の活動は3条件で差がなかった(むやみに負担を増やさない)
- 試す前提は「基本フォームが安定している中〜上級者」・軽い前後揺れから・違和感が出たら中止
同じベンチプレスでも、負荷の「質」を変えるだけで、身体への刺激は変わっていくんですね!
「重量を上げるだけがトレーニングではない」という視点は、長く続けているトレーニーの方だからこそ活きてくるんじゃないでしょうか。
中〜上級のトレーニーの方は、伸び悩みを感じたときの一手として、頭の片隅に入れてみてください!
もしトレーニング中に肩や胸、腰に違和感が出てしまったら、身体の状態を一緒に見立てるところから、ぜひ yell鍼灸治療院にご相談ください。
yell鍼灸治療院は、あなたの健康と笑顔とハッピーを超応援します!
📚 参考文献
- Saeterbakken AH, Solstad TEJ, Stien N, et al. Muscle activation with swinging loads in bench press. PLoS One. 2020;15(9):e0239202.





