オフィスの机に前腕を乗せマウスを操作する腕元のクローズアップ。立川の鍼灸師が2165人の研究からデスク環境と首肩の関係を解説する『昇降デスクを買っても肩は軽くならなかった話』のアイキャッチ画像

昇降デスクを買っても肩は軽くならなかった話

目次
  1. 昇降デスクを買っても、肩は軽くならなかった
  2. 2165人・15の研究を集めて分かったこと
  3. 効果が確かめられなかったもの
  4. ただひとつ、発症率を下げた組み合わせ
  5. 今日、机の上でできること
  6. まとめ

こんにちは! yell鍼灸治療院の斉藤です!
今回は【デスク環境を変えても首や肩が楽にならない理由】について書いていきたいと思います!

椅子も机も新しくしたのに、夕方になると肩が重い、、
そんな方におすすめです!

昇降デスクを買っても、肩は軽くならなかった

立って仕事ができる机、いわゆる昇降デスクを試した方は多いと思います。
実際に、昇降デスクを使ったオフィスワーカー46人を8週間追いかけた研究があります。

座っている時間は、確かに減りました。
8時間の勤務のうち、座位が385.9分から322.0分へ。
1日あたり80分ほど短くなった計算です。

ところが、首と肩の不快感や痛みのスコアは、通常のデスクを使ったグループと差がつきませんでした。
座る時間は減ったのに、肩は変わらなかった。

この結果を初めて読んだとき、「そんなことある?」と思いました。
でも数字はそう出ています。

なお、これは46人・ひとつの研究・8週間という限られた条件での話です。
「昇降デスクに意味がない」と言い切れるだけの材料ではありません。

2165人・15の研究を集めて分かったこと

さきほどの46人の研究は、もっと大きな検証の一部です。

コクランレビューという仕組みがあります。
簡単に言うと、世界中の研究を集めて、質の低いものをふるい落としてから結論を出す作業のこと。
もっと簡単に言うと、研究の研究です。

2018年に発表されたそのレビューでは、オフィスワーカーを対象にした15の研究、のべ2165人ぶんのデータが集められました。
対象は、パソコンの画面を週20時間以上使って働く人たち。
まさに、この記事を読んでくださっている方の働き方です。

昇降デスクを座り高さに下げたオフィスの仕事机。モニターとキーボードとマウスが置かれ椅子は無人。デスクワークによる首こり・肩こりを解説する記事の挿入画像

効果が確かめられなかったもの

まず、残念な話からいきます。

机の高さを調整する

椅子の高さ、モニターの位置、キーボードの角度。
こうした作業環境の調整を行ったグループと、何もしなかったグループを比べた研究があります。

254人を対象にしたその研究では、首と肩のトラブルが新しく起きる割合に差はありませんでした。
整えること自体は快適さにつながりますが、それだけで首肩が守られるという結果にはならなかった、ということになります。

全部まとめてやってみる

環境調整も、道具の変更も、指導も、まとめて実施する。
いわゆる多面的な取り組みです。

こちらは、測定された6つの上肢の痛みの項目すべてで、効果が確かめられませんでした。

まとめてやれば、何かは変わるだろう

そう考えたくなりますが、そうはならなかった、ということですね。

ただひとつ、発症率を下げた組み合わせ

ここからが本題です。
15の研究の中で、ひとつだけ、首や肩のトラブルが新しく起きる割合を下げたものがありました。

腕を支えるアームサポートと、形の違うマウスを、セットで使うこと。

数字で見ると、こうなります。
通常のマウスだけを使ったグループでは、1000人あたり232人に首か肩のトラブルが起きました。
アームサポートと組み合わせたグループでは、1000人あたり120人。

12ヶ月間の追跡で、186人ぶんのデータです。
このレビューの中では、比較的しっかりした部類の証拠とされています。

クリップボードに挟んだ一覧表。机の高さ調整・昇降デスク・マウスだけ・腕の支えだけに赤い✕、腕の支え+マウスに赤い○、下に1000人中232人から120人へと記載

マウスだけでは効かなかった

面白いのはここからです。
同じレビューの中で、マウスだけを変えた場合も検証されています。
そちらは、はっきりした差が出ませんでした。

腕の支えだけでも効かなかった

では逆に、アームサポートだけを足したらどうか。
こちらも、差は出ませんでした。

つまり効いたのは、腕を支えること単体でも、マウスを変えること単体でもなく、その組み合わせだったということになります。
道具をひとつ買い足して終わり、では届かなかった。
そこが、この研究のいちばん実用的な発見だと思います。

今日、机の上でできること

高い機材を買う前に、今の机でできることがあります。

肘を宙に浮かせない

肘を机に置いていないとき、腕は宙ぶらりんの状態です。
その重さを支えているのは、首から肩にかけての筋肉。

つまり、キーボードを打っているあいだじゅう、肩は腕を持ち上げ続けていることになります。
1日8時間なら、8時間ずっとです。

肘から先が、机か肘掛けのどちらかに乗っているか。
まずそこを見てみてください。

マウスを身体の近くに置く

マウスが遠いと、腕を前に伸ばした姿勢が続きます。
肩が前に出て、腕を支える場所がなくなる形です。

キーボードを少し左に寄せて、マウスを身体の正面近くに引き寄せる。
それだけで、腕の置き場所が変わります。

肘掛けの高さを合わせる

椅子に肘掛けがあるなら、机の高さに近づけてみてください。
低すぎると使われませんし、高すぎると肩がすくみます。
肘を乗せたときに、肩の位置が上がらない高さが目安です。

前腕が机の天板に、肘が椅子の肘掛けに乗って支えられている様子のクローズアップ。デスクワークの首肩の負担を減らす腕の置き方を示す挿入画像

こうした調整をしても、すでに固まってしまった首や肩は、それだけでは戻りにくいところがあります。
こわばった筋肉を整えて、身体が回復しやすい土台をつくるアプローチが、鍼灸にはあります。

まとめ

ここまで読んでくださってありがとうございます!

  • 昇降デスクは座位時間を1日80分ほど減らしたが、首肩の不快感には差が出なかった(46人・8週間)
  • 机の高さ調整も、まとめて色々やる取り組みも、効果は確かめられなかった
  • 唯一発症率を下げたのは、腕の支えと形の違うマウスの組み合わせ(1000人中232人→120人)
  • どちらか片方だけでは、差は出ていない
  • 今日できるのは、肘を浮かせないこと・マウスを近づけること・肘掛けを合わせること

机まわりを整えることは、遠回りに見えて、毎日じわじわ積み上がっていく部分です。
一緒に前に進んでいきましょう!

首や肩のつらさが続いている方は、立川駅・立川南駅から歩いてすぐの当院にご相談ください。

yell鍼灸治療院は、あなたの健康と笑顔とハッピーを超応援します!


参考文献

Hoe VCW ほか「Ergonomic interventions for preventing work-related musculoskeletal disorders of the upper limb and neck among office workers」Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 10, 2018, CD008570.

タグ#セルフケア#デスクワーク#姿勢#立川#肩こり#鍼灸#首こり
院長 斉藤宏之

この記事を書いた人

斉藤 宏之

鍼灸師・柔道整復師(国家資格)/2015年から臨床

立川・錦町の完全自費 鍼灸治療院。「またここに来れば大丈夫」と思える場所を目指しています。

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